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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ (21)爆発 両手を広げ、今ぞ抱きつかんとしたワルド。 だがその刹那、横殴りに現れた旋風がワルドの頬を殴りつけ吹き飛ばした。 ワルドを殴り飛ばしたそれは、鋼鉄で武装した人間の腕。 ワルドの計画は九分九厘まで成功したといって過言ではなかった。 アルビオン掌握から始まり、ガリア王暗殺、傀儡の女王を擁立してその側近達を自分の意のままに操る。 軍事大国二国を手中に収め、トリステインにガリア方面から圧力をかけつつ、一方でゲルマニアを制圧。 ロマリアと交渉し、最終目標を聖地の奪還であることを盾にトリステインへの不干渉を取り付けた。 孤立無援となったトリステインを鼠をいたぶる猫のようにもてあそび、王都にいる人間達を人質にしてルイズを手に入れる。 ウェザーライトの起動を食い止めることは適わなかったが、最大の障害と目された老いぼれは無力化した。 もう何も、ワルドの前に立ちふさがるものは存在しない。 その慢心が、先の一人語りへと繋がった。 その中の一つ、ルイズに見せ付けた左手に握られた眼球。その気配が眠れる獅子を起こすことになるとも知らずに。 長身であるワルドを三メイルは吹き飛ばした腕。それは空間を渡り現れた虚無の使い魔ウルザの片腕であった。 その全身はルイズの見たこともない鎧に覆われており、左手にはデルフリンガー、背には杖を背負っている。 異様な戦装束。けれど、ウルザというこの老人が纏うと、まるでそれが彼本来の在り方であるかのように違和感を感じさせないのであった。 「無事かね、ミス・ヴァリエール」 仰向けに倒れたまま動かないワルドを、鋭く一瞥しながらウルザが言った。 「あ、ええ、勿論よっ」 心臓を鷲掴みにされたような恐怖が、いつの間にか薄れていた。 先ほどまで心臓を停止して倒れていた人間が、何事も無かったかのように現れたことに驚きを感じてはいたが、それ以上に強い安心をルイズは感じていた。 ルイズが気付いた時、ウルザの視線はルイズの手の中の『始祖の祈祷書』へと注がれていた。 「あの、ミスタ・ウルザ……これは」 けれど、ウルザは首を振って応える。聞き分けの悪い生徒に諭すように、優しさと威厳を込めて。 「君のやりたいように、すると良い」 そう応えたウルザが、体をワルドに向け、一歩前進する。 ウルザのその一歩を待っていたかのようにワルドは倒れた姿勢のまま浮き上がり、体を甲板に対して垂直に起こした。 「やはり君か、子爵」 「ご無沙汰です、使い魔どの」 ここに至って、ウルザは今出せる全力を以て目の前の敵を迎え撃つ決意をした。 今引き出せるプレインズウォーカーとしての力の総力を以て滅ぼす決意を。 ワルドの左手から感じる波動、それはまごうことなきファイレクシアの力。 かの暗黒王に察知されてしまったのなら、既にプレインズウォーカーとしての力を隠蔽する理由はなく。また、出し惜しみして屠れるほど目の前の男は弱くはないと感じ取った。 「愚かな。それほどの才能を持ちながら、何故ファイレクシアの狗に成り下がった!」 「違うな、私の力にファイレクシアが惹かれたのだ!」 同時に甲板から宙へと浮き上がるウルザとワルド。 ここから始まる戦いは、正しく人間を超えたものとなった。 「デルフリンガー!肉体の制御は任せた!」 「おうよ相棒!合点承知!」 人間以上の親和性によって放たれる、凶悪化した大量の魔法の槌。 ウルザ、いや、ウルザの体を操るデルフリンガーはこれを巧みに操り回避し続ける。 一方的に放たれ続ける風の凶器、その間隙を縫ってウルザは近づいていく。 「……来たれ第一槍!」 ウルザの召喚の呪文が高らかに響く。召喚の気配を察してすかさず距離を離そうとするワルド。 そのワルドに異変が襲う。 最初は体内の異物感、それは激痛へ変化しすぐさま外界へと飛び出した。 「があああっ!?」 ワルドの腹部を穿ちながら現れた鋸刃を持つ機械の槍。ウルザに召喚されたアーティファクトはワルドを腹部を貫きながら召喚主の手元へと飛んだ。 仕掛けたウルザは右手で機械槍を掴みながら、敵の傷の具合を観察する。 敵の手の内を知らぬ状態で攻撃を仕掛けるのは高いリスクを伴う、そのことをウルザは長いプレインズウォーカーとしての生涯で学んでいた。 腹部を貫かれたワルドは素早く牽制のウインド・ブレイクを放ちながら、左手の眼球を操作する。 果たして変化は直ちに訪れた。 ワルドの内部から光の触手が伸び、それが負傷した部分を組み替えるように動き回り、一瞬の後には何事も無かったかのように傷は完治していた。 「ミスタ・ウルザ、それがあなたのアーティファクトか。なるほど、知識で知っていても実際に目にするのとは大分違う」 「貴様のそれは……ファイレクシアのスフィアコアかっ!?」 ウルザの分析眼はアーティファクトに限定するならば多次元宇宙世界ドミニアの中でも最高位に属する。 その彼にとっても既に数度目にしたことのあるアーティファクト、多層構造を持つファイレクシアスフィアの各層を管轄するスフィアコアユニット。 かつてナインタイタンズが精神爆弾をもって破壊しようとしたファイレクシアの核の一つ。それこそがワルドの手に納まっているものの正体であった。 稀代のアーティフィクサーウルザをもってしても、そのスフィアコアにどれほどの知識が納められているのか推し量ることはできない。 だがしかし、ウルザは誰よりもそのコアの危険性を理解していた。 「それはお前を蝕む毒だ」 先駆者として、最も新しい後輩への助言を与える。 「毒ならば、食らい尽くして力に変えてやろう」 だが、逸る若輩にはその言葉は届くことは無い。 「……ならば取り込まれる前に私が引導を渡すまでだ、プレインズウォーカー・ワルド」 月光の下、ウルザとワルドの空中戦が行われる一方で甲板ではルイズの朗々とした詠唱の声が響いていた。 ――ベオーズス・ユル・スヴュエル・カノ・オシュラ 今のルイズには前方に広がる大艦隊も、空で戦う二人のプレインズウォーカー達も見えてはいない。 彼女に見えているものはただ己の内側のみ、彼女に聞こえているのはただ自分の心臓の音のみ。 彼女の戦いは、自分自身との戦いであった。 ところ変わって、ブリッジの操舵席。 そこに腰を下ろしたギーシュと、その横にモンモランシーが立っていた。 「ねぇギーシュ!もう良いじゃない!あなたは良くやったわ、逃げずにここまで頑張った、でももう無理よ。敵があんなに近づいて……もう目と鼻の先よ! ルイズは失敗したのよ。そう、きっと上手くいかなかったのよ。だからギーシュ、もう……」 引き返すようにギーシュに言うモンモランシー、その言葉にギーシュは頑なに首を左右に振る。 「ルイズは、ルイズはここで僕がフネを動かすことが、僕の戦いだと言った。何をやっても中途半端で、大した力が無いくせに自分を大きくばかり 見せたがる、この僕を見て、これが僕の戦いだと言ってくれた。 そんな彼女が自分の戦いに向かったんだ、だから……僕は何があっても、彼女を信じる」 これが決意、ギーシュ・ド・グラモンの決意。 自分は自分の戦いをする、ただそれだけの平凡な、そして彼らしい決意。 そして二人に訪れるしばしの沈黙。 充血するほどにかたく操舵環を握ったギーシュの手に、そっと柔らかな手が添えられた。 「モンモランシー?」 「馬鹿、そんな意地に女の子を巻き込むなんて、ホント最低、自己中心的だわ」 「……ごめん」 「そんなことじゃ、絶対女の子に嫌われちゃうんだから」 「……」 「そんなあなたについて行ってあげようって言うんだから、大切にしてよね」 「え、モンモ……」 彼はそれ以上続けることができなかった、なぜならその唇を彼女が塞いでしまったから。 一瞬のキス、けれどそれは、永遠よりも長く切なく。 名残惜しそうに離れていくモンモランシーのうっすらと朱をひいたような顔。 それを見たギーシュは、これまで目にした女性より、どんな彫刻より、どんな夜空の星の煌きよりも彼女こそが世界一美しいと、心底思った。 「最後かも、しれないから、ね」 「いいや……そんなことは無いさ、こんなところで終わってなるものか。僕達は、きっと生き残る!」 タバサがうっすらと目を開けた。 経験豊富なシュヴァリエは、まずは現状の把握に努めた。 空中で戦っている使い魔ウルザと魔人ワルド、フネは進路を変えずに正面の大艦隊へと向かっている。そしてルイズは、祈祷書のルーンを読み上げていた。 体は――動かない。 ――ジュラ・イサ・ウンジュー・ハガル・ベオークン・イル 独特の韻を踏んだ古代ルーンによる詠唱。 それがどのような呪文であるのか、タバサには分からない。 けれど、その始めて耳にするはずの呪文を、タバサはなぜか懐かしいと感じた。 まるで母の子守唄のような、意識ではない、もっと深いところで覚えている郷愁を感じさせる不思議な詠唱。 そして直感的に理解した。これこそがルイズにとって本当の、自分の系統魔法なのだと。 そう思いながら、タバサの意識は再びまどろみへと落ちていった。 長い詠唱が終わり、遂に呪文が完成した。 その瞬間、ルイズは己がこれから放つ呪文の威力を理解した。 この呪文は巻き込む、全てを巻き込む。 だが同時に理解した。 自分が放つ呪文の範囲、生きているのはほんの数名。 ワルド、そしてその使い魔である一人と一匹。 それ以外は全て、全て死者であると。 視界に入る無数の巨艦、それらの中にいるはずの人間達は、既にこの世の者ではないのだと。 ルイズは口の中に苦く広がるせつなさを感じながら、杖を振り下ろした。 「爆発/Explosion」 ルイズが杖を振り下ろすと同時、甲板上に溢れんばかりの白光が満ちた。 放たれようとする虚無の魔法の予兆。 だが、事態は何人も予期せぬ方向へ転がり落ちようとしていたのである。 一見して白光に見える光、だがその真実は虹の光であった。 ルイズの右手と左手に嵌めた、水と風のルビー。 それが相互に干渉し合い、かつてイーグル号で皇太子ウェールズが見せた虹と同質のものを発生させていた。 ただ一つ違うのは、その規模と共鳴体。 かつて共鳴を引き起こしたものはウルザの両の瞳に納まるウィークストーンとマイトストーン、二つのパワーストーンであったが、今回共鳴を起こしたのは、ウェザーライトⅡに据えられたスランエンジンであった。 古代スラン文明の英知によって創造されたスランエンジンが、自身にとっての本来の動力源であるパワーストーンと共鳴し、その力を存分に増幅する。 即ち、ルイズの指に嵌った二つの指輪、風と水のルビーと呼ばれる、二つのパワーストーンである。 「ぬ、お、おおおおおお!!」 パワーストーンによる共鳴現象の余波は、ウルザのパワーストーンにも襲い掛かった。 強大なマナを内包するパワーストーンが、始祖のパワーストーンとの共鳴増幅によって、その力を爆発的に増大させる。 脳内に早鐘のように響くグレイシャンの呻き、体中の神経は溶鉄を流し込まれたかのように焼け爛れ焦げ付く。 押さえ込むことさえ敵わぬ強大な力の暴走にウルザは耐える。 「か、はっ!」 一方のワルドも、大きく血の塊を吐き出した。 その右手に嵌めたパワーストーン、土のルビーがウルザのウイークストーン・マイトストーンと同様に、共振を引き起こしたのである。 体中に裂傷が走り、裂けた部分からマナが噴出する。マナが溢れ出す度に傷口は広がり血とマナを溢れさせた。 「共感作用かっ、しかし、これはまるで……」 搾り出すように言葉を紡ぐウルザ。 「狂人め!何故こんなことを、彼女にさせるっ!生身の人間に、耐えられるはずがないではないか!」 純白であった制服を鮮血に染めながらワルドが叫ぶ。 そう、これは二人にとって誤算以外の何ものでもなかった。 ウルザとワルド、両者は共にルイズの力を求めている。故に危害を加える気などありえるはずも無かった。 だが、二人の思惑が交錯した時、互いの意図の超えた誤算が生じた。 ワルドにとってはルイズがアルビオンの大艦隊に対して正面から立ち向かうことが想定外であり、ウルザにとってはルイズの指に嵌ったパワーストーンが自分の設計したスランエンジンと共感増幅を引き起こすことが想定外であった。 「いかん、これでは……彼女の肉体が焼き切れるっ。エンジンを停止させねば……」 だが、消耗し疲弊し体内を荒れ狂うマナの濁流に翻弄されるウルザにとっては、宙に留まることすら困難であった。 対して、パワーストーン一つのフィードバックしか受けていないワルドは、ウルザに比べれば健在であると言えた。 ワルドはデルフリンガーを片手に胸を押さえて蹲るウルザを見て一瞬の躊躇を見せたものの、眼下のルイズへと体勢を向けて、大きく手を広げた。 「死にぞこないめ、見ているがいい。この程度の力……飲み込めぬ私ではないぞ!」 かっ、と眩しくワルドの体が輝いたかと思うと、その大きく開かれた口、そして目、鼻、耳、両手、そして体中の裂傷から光の触手が伸び、宙に浮んで全身から光を放つルイズに先端を『接続』した。 次の瞬間、繋がった触手を伝わり、ルイズの体内を駆け巡っていたパワーストーンの超大な魔力がワルドへと押し寄せる。 「――ッ!! ■■■■■!!!!!!! ――――――ッ!!」 言葉にならない絶叫がワルドの口から迸る。ワルドの魔力が風船のように膨れ上がっていく。 だが、ウルザの目から見て、それも一時の時間稼ぎに過ぎないことは明白であった。 ワルドに魔力を吸い出されながらも、ルイズの肉体は確実にパワーストーンに蝕まれている。 やはり、彼女を救うにはウェザーライトⅡのスランエンジンを停止する他に道は無い。 だが、どこの誰がそのようなことを行える? 自分自身はこの肉体を保つことで精一杯である。 オスマン・タバサは甲板の端に転がったまま動かない。 ギーシュとモンモランシーは? いや、そんな時間は無い。 誰か、誰かいないか、彼女を救えるものは…… ウルザは艦内に意識を飛ばし、注意深く探った。 想定外を超える想定外を。予期せぬ事態に対応しうる、予期せぬ存在を。 そして、それは見つかった。 小さく音と立てて、両開きの扉が開いた。 それまで錬金、その他の方策を試し、結果としてびくともしなかった強固な守りが、突然に開け放たれたのだ。 流石にこの変化に彼女もいぶかしんだが、何はともあれ厄介ごとが解決したのである、中へと入らない道理は無かった。 足を踏み入れた部屋は、めぼしをつけた通りの場所であった。 きらびやかな宝石類が棚に納められ、一方でどんな用途に使うのかも分からないガラクタが転がっている。武器や鎧、大きな鐘や中から釣り下がった円形をした何かの模型もある。 見覚えの無いものはちらほら目に付くが、それらの大部分は彼女が以前学院の宝物庫に侵入した際に目にしたマジックアイテムの数々であった。 「やっぱりね。最初から襲撃を予測して、こっちに移してたって訳ね。ふふん」 そう彼女がつぶやいたのと、彼女の目の前に男が現れたのは同時であった。 「ちっ!やっぱり罠か!」 『待て……土くれのフーケよ』 そう、船の宝物庫に忍び込んだのはブリッジから隙を見て姿を消していたフーケその人であった。 そして、その正面に立った男こそは、フーケが投獄されることとなった事件の当事者が一人、虚無の使い魔ウルザ。 だがその体は半透明でおぼろげ、背後が透けて見えている様子は誰に聞いても幽霊と答えるに違いない姿である。 『取引をしよう』 「……取引?」 『そうだ……今から私の言うことに従ってくれるというなら、この宝物庫にあるどのようなものでも一つ君に譲ることを約束しよう』 「へぇ、随分と気前がいいじゃないのさ。学院長でも無いのにそんな事言ってもいいわけ?」 『構わない、私が交渉する……』 口元に手を当てて目を泳がせて思考するフーケ、相手の提案を吟味する。 悪い話ではない、だが。 「それで、嫌だといったら?」 『君を、ここで殺す。そして君の大切なものにも消えぬ呪いを刻み付ける』 波一つ無い湖畔のような静謐さで呟くウルザ、だがその瞳はらんらんと輝いており、それが脅しでないという恐ろしいまでの圧迫感をフーケに与えた。 それは、いつかワルドから感じたあの恐ろしいまでの狂気と同質のものであるように思えた。 ならばフーケのとる道は一つ……。 「交渉も何も、強制じゃないか……」 『返事は?』 「……分かった、やるよ」 フーケは投射されたウルザの幻影の指示に従い、宝物庫から一つのマジックアイテムが納められた箱を持ち出した。 一メイルほどの大きさのその箱を両手に抱え、宝物庫から一区画離れた動力室へと走るフーケ。 フーケがそこに到着した時、動力室の扉は開け放たれており、中からはスランエンジンの咆えたける唸り声が轟いていた。 「それで、これからどうすればいいんだい?」 『箱を開き、中にあるものを取り出すのだ』 「はいはい……って、これが杖?何かの間違いじゃないの?」 フーケが取り出したのは、見たことも無い、筒状の物体。 その名は――『破壊の杖』 ウルザの指示通りの射撃姿勢を取り、引き金を引くフーケ。 肩に担がれた破壊の杖から三○○mm以上の装甲を貫通する六六mmの成形炸薬弾が発射され、ウェザーライトⅡのスランエンジンは停止した。 同時、張り詰めていた糸が切れるようにして、ルイズの『爆発』が発動し、世界を覆った。 トリステインだけでなく、ガリア、アルビオン、ロマリア、そしてエルフの聖地。 全ての国の全ての人がそれを目撃した。 この現象を、ある者はブリミルを御業だと涙し、ある者は世界の終わりと嘆いた。 各国に、この光によってアルビオンの無敵艦隊が全滅したと伝えられたのは、この暫く後のことである。 ただ一人戦場に残され、天を見上げていたジュール・ド・モットはことの顛末の一部始終を目撃した唯一の証言者となった。 彼はこの後に、アンリエッタに以下のような報告を行っている。 ――まるで、一瞬で夜と昼が入れ替わったかのようでした。 最初に単騎でアルビオン軍と戦っていたフネの上空に光の球が現れました。 それはまるで、小さな太陽のようにまばゆい光を放っていました。 続いて、その光の球が膨れ上がり、フネを包んだのです。 そのまま光の塊はどんどんと大きくなって、遂にはアルビオン艦隊にまで及びました。 それでも膨らむことをやめない光の球は、遂には空全体を覆い尽くし、やがては私自身も光に覆われてしまいました。 目を瞑り、両手で顔を覆っても、光はそれらを貫いて私の目に届くほどでした。 どれくらいの時間がたったのか分かりません、一瞬だったのか、それとも一分だったのか。 光が晴れ、再び夜の闇が訪れた時、アルビオンの全てのフネは青い炎を上げて燃えていました。 悪夢のように、朧のように背後に控えていたアルビオンも消えていました。 何が起こったのか私には分かりません。 ただ一つ、私にも分かることは、あの光こそがトリステイン王国を救ったということです。 ―――ジュール・ド・モット 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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パック:フシギ一式承ります BEFORE:翼と爪と鱗と牙と(P)TF5 NEXT:偏在するコインの裏側(P)TF5 条件 十六夜アキ(DA)、カーリー渚、イェーガー、嶺開花、メイ喜多嬉がパートナー レベル3,7,11,15,19,23,27,31,35,39,43でランダム チャレンジ達成数10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110でランダム 全キャラの信頼度合計40000以上 解説 魔法使い族 優秀なシンクロモンスターアーカナイト・マジシャンや制限カード(新禁止・制限では準制限になった)カオス・ソーサラー等が狙い目。 【墓守】はなかなか強いデッキだが今作において切り札モンスターである墓守の大神官や他に新墓守モンスターが登場し、更に強力になった。 このパックで墓守関連のほぼ全ての主要カード、魔法使い族のサポートカードが揃うので意外と組みやすい。派生デッキも多く存在するので簡単には飽きないだろう。 主なカード 墓守、ネクロバレー、エンディミオン、サイマジ、カオスソーサラー、トリッキー、アーカナイト、マジックテンペスター ※レアリティ無表記のカードはノーマル。編集確定しました。 通常モンスターカード(01種) ランプの魔精・ラ・ジーン 効果モンスターカード(52種) ウジャド眼を持つ男 エレメント・マジシャン 王立魔法図書館(レア) カオス・ソーサラー(ウルトラ) クルセイダー・オブ・エンディミオン(レア) 黒魔力の精製者 ゲイシャドウ 幻影の騎士-ミラージュ・ナイト- 幸運を告げるフクロウ 氷の女王 サイバネティック・マジシャン サイレント・マジシャン LV8 サイレント・マジシャン LV4(スーパー) THE トリッキー(ウルトラ) シャブティのお守り 執念深き老魔術師(レア) 神聖魔導王 エンディミオン(レア) 聖なる解呪師 ダーク・ヴァルキリア 闇紅の魔導師(レア) 墓守の暗殺者 墓守の大筒持ち 墓守の長(レア) 墓守の監視者 墓守の従者 墓守の呪術師 墓守の司令官 墓守の大神官(レア) 墓守の偵察者(スーパー) 墓守の長槍兵 墓守の番兵 墓守の末裔(レア) 墓守の巫女 ハンニバル・ネクロマンサー ピクシーナイト 不幸を告げる黒猫(レア) 黒魔導の執行官 ブラック・マジシャンズ・ナイト ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師- ブリザード・プリンセス(レア) マジカルフィシアリスト 魔法の操り人形(レア) マジキャット 黒の魔法神官 魔導獣 ケルベロス マジック・ランプ(レア) マジドッグ 魔草 マンドラゴラ 魔導アーマー エグゼ 魔導騎士 ディフェンダー(レア) 見習い魔術師(スーパー) ミラクル・フリッパー 融合モンスター(01種) 黒炎の騎士-ブラック・フレア・ナイト- 儀式モンスター(01種) 伝説の爆炎使い(レア) シンクロモンスター(03種) アーカナイト・マジシャン(ウルトラ) エクスプローシブ・マジシャン(レア) マジックテンペスター(スーパー) 魔法(16種) 王家の生贄(レア) 王家の眠る谷-ネクロバレー(ウルトラ) 騎士の称号 灼熱の試練 ディメンション・マジック(スーパー) トリッキーズ・マジック4 墓守の石板(レア) 秘術の書 マジシャンズ・クロス マジックブラスト(レア) 魔女狩り 魔法族の結界 魔法族の里(スーパー) 魔法都市エンディミオン(レア) 魔力掌握(スーパー) メガトン魔導キャノン 罠(07種) 奇跡の復活 降霊の儀式 漆黒のパワーストーン 対抗魔術 バベル・タワー(レア) マジシャンズ・サークル(ウルトラ) 魔力枯渇
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Q:初期デッキでまるで勝てません:よくあるQ&A <モンスター> サイレント・マジシャン LV8 E・HERO ネオス ジャッジマン アックスレイダー E・HERO オーシャン E・HERO クレイマン E・HERO スパークマン 機械軍曹 サイレント・マジシャン LV4 シャインアビス 闇魔界の戦士 ダークソード ルーレットボマー E・HERO バーストレディ E・HERO フェザーマン カードガンナー D-HERO デビルガイ 沼地の魔神王 フレンドッグ 一刀両断侍 名工 虎鉄 <魔法> 悪夢の鉄檻 Hヒートハート カードトレーダー 巨大化 戦士の生還 デーモンの斧 ハリケーン 摩天楼-スカイスクレイパー 摩天楼2-ヒーローシティ 融合 融合賢者 ハンマーシュート ミラクルフュージョン <罠> 強制脱出装置 砂塵の大竜巻 正統なる血統 ヒーロー見参 ヒーローシグナル ヒーロー・ヘイロー フォースフィールド <融合デッキ> E・HERO サンダー・ジャイアント E・HERO シャイニング・フレア・ウィングマン E・HERO フレイム・ウィングマン <サイドデッキ> 竜殺しの剣 リロード 連合軍 マジック・ジャマー ヒーロー・メダル A:まず、サイドデッキから連合軍やマジック・ジャマーをメインデッキに移すだけでもだいぶ強化できる。 逆にヒーロヘイローやサイレントマジシャン等の扱いにくいカードをサイドデッキへ移し、40枚ピッタリにしておくと良い。 パスワードでカードガンナーやオーシャンを複製させるのも強化になる。 手札事故や大嵐、ハンデスが怖いのなら下級オンリーの【フルモンスター】に構成し、アタッカーを並べて攻めまくる手もある。 慣れて来たら、サイコ・ショッカーやザボルグを投入しよう。 <オススメパック一覧> 墓守の宿命 霊滅術師カイクウやお注射天使リリーが即戦力になり、天罰等の妨害カードも手に入る。 特にお注射天使リリーは立っているだけで相手の攻撃をストップできる最初から最後まで役に立つ優れもの。但し、乱用するとこちらのライフがあっという間に削られるのでここぞという時にだけ使おう。 天からの使者 優秀なカードが集まっている。 雷帝ザボルグ、D.D.アサイラント、ブローバック・ドラゴン、魔鏡導士リフレクト・バウンダー、異次元の女戦士と豪華な面子である。 激昂のミノタウルスもアタッカーとしての活躍だけでなく、序盤のきつね火対策にもうってつけ。 ヒーローの条件 初期デッキのヒーローカードを補充して即戦力に。 汎用カードの破壊輪と早すぎた埋葬が目玉。 電脳再起動 サイコ・ショッカーとギガサイバー、リクルーターで戦線維持を図れる。 勝利への渇望 ギラザウルスとモンスターゲートで上級モンスターを手軽に出せる。但しギラザウルスをパスワードで入手する場合は1000DPも掛かるのである程度カードが溜まってからにしたい。 ニュートや地砕きやドレインシールドもオススメ。 王者の住まう神殿 インフェルノやギガンテス、マシュマロン、炎帝テスタロスが目玉。 サイレント・マジシャン LV8を簡単に出せるレベルアップ!も狙い目。 上記のパックと異なり出現させるには最初から出現しているレベルLV1デュエリスト全員に3勝する必要がある。 光より生まれる破壊者 ハイドロゲドンや氷帝メビウス、ホルス系統が目玉。 こちらは4勝する必要があるので少し後になる。 大邪神の怒り THE トリッキーやネフティスの鳳凰神が目玉。 仮面竜やアームド・ドラゴン系統も即戦力になる。 後は詰めデュエルLV1とおさらいデュエル全部クリアで計1900貰えるのでそれも注ぎ込もう。
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戻る マジシャン ザ ルイズ 進む マジシャン ザ ルイズ 3章 (29)トリステインの女王アンリエッタ 「それでは、再びミスタ・ウルザに質問致します」 二十二の瞳に見つめられたオスマンが口を開いた。 「二十の竜騎兵を蘇らせ使役するのは、あなたの言うところの魔法ならば可能とのことでしたが、それでは敵の中にその魔法を使えるメイジがいるということになりませんかな? 我々の知らぬ理を識る誰かが、アルビオンに荷担しているということに」 円卓の寄る辺、起立しているのは再びオスマンとウルザ、二人の白髭。 「その通りです。オールド・オスマン。そして私――我々は、その者と既に遭遇しております」 場の支配権は完全にこの老人達のものになっている。 「ふむ、なるほど。 では、そのあなたと同じ力を持ちながら敵に荷担している者の名を、明らかにして頂きましょう」 流れの横車を押すのは、オールド・オスマン。 「彼は元トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵であります」 演出、脚本、進行、全てオスマンの手による寸劇、あるいは喜劇が幕を開けた。 「それでは、我々の知らぬ魔法、そしてそれを扱うことのできるワルド子爵。この二つをふまえた上で、改めて三ヶ月前から遡り、一連の出来事を整理していくこととします。 ではミズ・サウスゴータ。あなたが知る限りの事柄で、不可思議に思ったこと、理解できないと感じたことを話して頂きたい」 促され立ち上がるマチルダ=フーケ。両の眼鋭く、オスマンを睨み付ける。目の前の相手が自分にとって味方なのか、敵なのか、それを見極めんとする。 対して老人は、いつもの通りに人の良さそうな好々爺の面持ちで、立派な白髭を手で撫でている。何もかも、数ヶ月前と変わらない姿。 だが、対峙する自分の立場はその頃とは全く違っている。最初はロングビル、その次はフーケ、そして今はマチルダ。 今この場に立っている自分にとって、この老人は何者であるかを考える。この老人の手の中にある青写真のにおいて、自分がどこに描き込まれているかを考える。 トリステインの新女王は、この食えない老人のペテンに乗ることにしたらしい。では自分はどうするか? 「……」 しばし黙考し、考えを整理する。 今のところ、流れは自分にとって悪くない。全ての責任をワルド一人に押しつけ、自分自身の罪に対しての免罪も得た。 最大のネックであった、口にすると戯言に過ぎなかったワルドの力も、あの使い魔の老人のおかげで、ある程度の信頼性を得られた。 正直、上手くいきすぎていると感じるくらいに順調である。 そして、その全ては、この場を仕切っているオスマンの誘導によるものである。 ここまで考えたところで、マチルダの中で心が決まった。 「ええ、ございます。 わたくし自身も信じられなかったので話さなかったのですが、先ほどのお話を聞いていくつか……」 ここで彼女は手の中にあるカードのいくつかを切った。ここはオスマンに協調しておくのが得策という判断である。 良い流れの時には逆らわないで身を任せる、これも彼女の流儀であった。 「彼が自分で使い魔、と呼んでいた竜と傭兵のメイジのことでございます」 改めて、先ほど喋らなかったことに他意はないと前置きしてから、マチルダは話を始めた。 「彼が使い魔と呼んでいるのは、竜と人です。使い魔を二匹、それも片方が人などというのは聞いたことがありませんでしたので……」 そして、マチルダは自分が見聞きした事実を語った。 竜の方は名前が分からない、男の方はメンヌヴィル。 それぞれルーンの位置は額と右手。 竜の方のルーンはクロムウェルの側近であったシェフィールドという女性の生首から引き抜いて、それを竜の額に貼り付けて使い魔にした。 メンヌヴィルの方は、竜が使い魔となって暫くたってから雇われ、ワルドがどこからか持ってきた切断された人間の右腕に刻まれていたルーンを移植され、使い魔にされた。 そしてマチルダは使い魔のルーンを他のものに移植する、その行為が余りにおぞましかったことと、移植される側、この場合切断された『頭』と『右腕』になるのだが、それが体から切り離されているにも関わらず、 『生きている』状態であったことがまるで悪夢のような光景であったことを身振り手振りを交えてマチルダは語った。 マチルダの話を聞き終えたオスマンは、何度も頷きを返し、それからウルザにこう問うた。 「ミスタ・ウルザ。我々が知る限り前例のない話ではありますが、使い魔のルーンの移植、そのようなことが、果たして可能なのですかな?」 即座 「条件さえ整えば、可能でしょう」 ウルザが答えた。 オスマンはマチルダだけでなく、続いてモット伯爵から戦場で見聞きしたことを、それを終えると更にはルイズ・タバサ・ギーシュ・モンモランシーにウェザーライトⅡにて体験したことを、語るように促した。 オスマンが質問し、問われたものがそれに答える。その中で解決されない疑問や不可解な点はウルザが補足する。 そうして誰もが断片的な情報しか持っていなかったニューカッスル落城以後の空白の三ヶ月の全容が、オスマンの手によって見事に形作られていった。 ここからは物語を追ってきた読者諸兄の皆様にとっては、いささか単調なやりとりが続くこととなる、よって内容を纏めて流れに沿って記すに留めさせて頂く。 三ヶ月前、ニューカッスル城の決戦以後、一時行方不明となっていたワルドが、新たな力を手に入れてアルビオンへと帰還を果たす。 ワルド、死者を意のままに操る術を使い、アルビオンを瞬く間に掌握する。 真実に近づいたクロムウェルの側近、シェフィールドがワルドに捕らえられる。 シェフィールドの『頭』からルーンが抜き出され、ワルドが召喚した竜へと移植される。 ワルド、ガリア王暗殺のためガリアへ渡る。 タバサがガリア王暗殺を目撃し、地下牢へと投獄される。 ワルド、王周辺の貴族達を抱き込んで傀儡の女王を擁立する。 ワルド、ロマリアへと渡り、数日後に『右腕』を手にアルビオンへと帰還する。 ワルドがメンヌヴィルを雇い、『右腕』からルーンを抜き出し、これを移植し彼を使い魔とする。 ガリア王国からトリステイン王国へ宣戦布告。同時、ガリア・アルビオンとトリステイン・ゲルマニアが戦争状態へと突入する。 ワルド、浮遊大陸アルビオンをゲルマニア領空へと移動させ、進軍を開始。 帝都陥落。 間諜によりガリアによるトリステイン南部攻撃作戦の情報がもたらされ、トリステイン軍の大部分が南部へと集結する。 マチルダ、トリステイン攻撃の混乱に乗じてアルビオンを脱出、ガリアへ。 タバサを救出。タバサ、マチルダ共にトリステインへと向かう。 トリステイン魔法学院周辺に、突如アルビオン軍が現れ進軍開始。モット伯爵が王軍へと伝令を飛ばしつつ迎撃に。 モット伯爵がメンヌヴィル率いる屍竜騎兵と交戦。モット伯爵一人を除いて迎撃に出た兵士が全滅。 トリステイン魔法学院襲撃を受けるが、殆どの者は事前にウルザが準備していたマジックアイテムで王都へと脱出する。逃げ遅れたルイズ・タバサ・ギーシュ・モンモランシー・マチルダがウェザーライトⅡに乗船する。 ウェザーライトⅡ、アルビオン軍艦、機械竜、屍竜隊、メンヌヴィル、使い魔の竜と次々に交戦する。 現れたワルドとウルザが交戦。最中にルイズが魔法を放ち、進軍していたアルビオン全軍を壊滅させる。 「ふぅ……」 桃色の唇をカップに口づけ、冷えて久しい紅茶を含む。乾いた喉に、心地よい潤いがもたらされた。 諮問会開始から既に四時間が経過している。広すぎる円卓の間に残るのは女王アンリエッタとその側近マザリーニだけである。 その他の参加者には既に退室が命じられており、魔法による自動筆記も終了している。 次の予定である別の会議の開始まで三十分、アンリエッタにとっては久しぶりとなる休息の時間である。 だが、その表情は優れない。それは横に座るマザリーニにしても同じこと。 二人は共に先頃の諮問会で行われていたやりとりを思い出していた。 「どこまでが、真実なのでしょう?」 静寂の中で呟いたのはアンリエッタ。その声は毅然とした女王の仮面を外した導くことに脅えを抱く、齢十七の娘そのものである。 アンリエッタとて馬鹿ではない。自分が政治上の都合により王位に就いていることは自覚している。 この国には今、強い指導者が必要なのである。 未曾有の混乱、これまでにないほどの大きな戦争、それを乗り切るためには誰しもが認める『完璧な王』が必要だったのだ。 『始祖の加護を受け、聖なる光でアルビオンを撃退した偉大なる女王』という立場は国を纏める上で都合が良い、ただそれだけのこと。 自分の力によって座にあるわけではない。救国の英雄が王となるならば、むしろ本来の意味で女王の椅子に座るべきはルイズであるべきだろう。 だが、アンリエッタはそれを分かっていながら女王の椅子に座り続ける。 それが彼女に課せられた役割であるから、王族に生まれた者の責任であるから。 例えそれが、国民を欺くことになろうとも。 だがこの時間、言うならば舞台裏。役者が舞台を降りて次の出番までの間、素の自分に戻っても良い時間。 「どこまでを信頼して良いものか、私には判断しかねます……」 弱々しく紡がれた言葉は、脚色無い少女の本音。 「仮に、全てを真実とするならばどういたします?」 その質問に、マザリーニがいつも通りの声で答える。 「……恐ろしいことです。始祖が降りたったこの地以外に、別の世界があるなどと……そして直接的ではないにしろ、その世界からの侵略などと、まるで子供が夜に見る悪い夢のようです」 アンリエッタは本当に全てが悪い夢だったらと思う。聞いたこともないような世界の話、存在も疑われていた失われたはずの五柱の一角、過去に類を見ないような世界中を巻き込んだ大戦争、その全てが自分が王となった代で起こるなど。 「……私には荷が重すぎます」 これこそが自分の言葉、身の丈に合った言葉、消えてしまいそうな呟きを、そんな想いに駆られて漏らす。 ザーザーという音が、窓辺から聞こえる。いつしか外は雨、勢いよく降っているらしい雨の足音が部屋の中まで伝わってくる。 「あなたしかおりません」 ただ雨音だけが響く部屋で、マザリーニが言葉を発した。そして更に、続けて言う。 「いえ、あるいは探せば他にも適任者がいるかも知れません。ですが、私はそれでも、あなたこそがこの局面に置いて最高の『王』だと信じております」 「……ご冗談はお止しなさい。私を王位に据えたあなた自身が一番分かっているはずです。私には人を導く指導力も、何かを判断する決断力も欠けていると。先ほどの話が真実とするならば、この度の争乱はこの世界を左右しうるもの。 私ごときの器は頑張っても精々平時の『王』。このような局面に、私のような凡庸な者が『王』でいて良いはずがありません。それに何より私は私情を挟む『王』。 この度の戦いを、ウェールズ様の敵討ちとして望んでいる私がいないと言い切れません。あるいはウェールズ様の元へと逝ける機会だと思っているかも知れません。そういったやましい心を持った『王』ならば、それは兵を、民を巻き込んで国を道連れにしてしまいます」 一息に、思いの丈をぶちまける。 アンリエッタは国を、民を愛している。だからこそ、自分の私情によってそれらを損なうことを何よりも恐れていた。 自分自身が分からない、自分の心が分からない。 国民を愛している、けれど未だウェールズも愛している。もしもその時、二つのどちらかを選べと言われたときに、自分がどの様な選択をするのか、分からない。 「自分のことも分からぬ『王』に、誰がついてくると言うのでしょう。そんな弱き『王』は必要ありません」 本音だった。 自分のような小娘が王などと、間違っている。それこそが即位以来、ずっと彼女が抱え続けてきた想いであった。 話の最初から最後までを、黙って見ていたマザリーニの視線に耐えられなくなり、アンリエッタは窓へと視線を逃がす。 外の雨は益々勢いを増し、叩きつけるような激しいものとなっていた。 「それでも」 強くなった雨音にかき消されないようにか、先ほどよりも強い調子で、 「あなたこそが、王に相応しい」 マザリーニは言った。 その言葉に、反射的にアンリエッタは我を忘れて席を立つ。 「……っ。 一体この私のどこが王に相応しいと言うのですか! 能力は平凡で、好いた殿方一人に右往左往、王の血筋に生まれたというだけで、本当は市井の娘と何ら変わらないただの小娘ですわ! こんな私のどこが! あなたは『王』に相応しいと言うのですか!?」 自分を卑下しているのではない、これは、歴然とした事実なのだ。 だが、そんなアンリエッタを前にしてもマザリーニの言葉は変わらない。 「それでも、あなたは『王』に相応しい」 繰り返された言葉に、アンリエッタは力一杯拳を握り締める。 「どうしてっ!?」 激しいアンリエッタの詰問に 「あなたには、華がある」 マザリーニは余裕の笑顔を返したのだった。 「……華?」 「ええ、そうです。華と言って分からなければ魅力と言い換えても良いでしょう。人が望んでも手に入らぬ天性の魅力、あなたにはそれが備わっている」 「魅力、……そう、魅力。でも、そんなものが何の役に立つというのです。確かに『王』たるものにカリスマは必要です、しかしそれが『王』としての能力を凌駕するとは、私には思えません」 マザリーニの言葉に毒気を抜かれたように、再び腰を下ろすアンリエッタ。 「おやおや、アンリエッタ女王陛下は『魅力』を侮っておいでのようだ」 「侮るも何も……たかだか人を惹きつけるだけでしょう。そんなものが政治や戦争の、何の役に立つというのです」 「確かに、魅力は政治や戦争に直接役に立つものではありません。ですが、立派な武器となるものです」 「……」 「人を惹きつける力、それも天性のものとなれば別格。例えあなた自身に力が無くとも、あなたよりも優秀な周囲の者達があなたを喜んで支えるでしょう。 そしてその者達はあなたが最善の決断に至るように力を尽くし、その決断には喜んで支持をして実現させるために力を注ぎます。そして時に補佐し、時にあなたを諫める。 あなたはそこにいれば結構。そんなあなたを助けようとする者達の力を十二分に引き出すのですから。そう、『魅力』とは指導者にとって最も必要とされる希有な資質なのです」 普段は決してこのような強い調子で喋ることのないマザリーニの言葉。 しかも、それを要約すると『あなたはとても魅力的だ』 呆気にとられて一瞬惚けたような顔をしたアンリエッタだったが、そのことに思い至り、上品に手で口元を隠してくすくすと笑い声を漏らした。 「マザリーニ枢機卿。もしかして、今、私はとても失礼なことを言われたのかしら? まるで私が人を惑わす魔性の女のような口ぶりでしたけれど」 「いやはや、その通りのことを申しただけですぞ。気に入らないのでしたら、言い換えて差し上げましょう。あなたは天性の『人ったらし』です」 「はははっ! お止しになって、それこそ私が希代の悪女のようではありませんか」 ついに堪えきれなくなり声を出して笑うアンリエッタ。それを眺めるマザリーニも穏やかな笑顔を返した。 「陛下には陛下にしかない武器がございます。あなたは自身を恥じ無くてよろしいのです。あなたは立派な『王』となるでしょう」 「……なぜかしら、あなたにこんな事を言われるのはとっても可笑しいことなのに、心が楽になった気がします。王になって初めて……真に人の口から私が『王』になったことを肯定された気がします」 「いいえ、女王陛下。私以外にも多くのものが、女王陛下を認めております」 「それも、私の魅力によるものなのかしら?」 「左様です」 「そう……それでは、その数少ない取り柄を使って、この国を良くしていきましょうか」 そう言ったアンリエッタは、苦労をかけるであろう側近に向かって、華のような最高の笑顔を見せたのであった。 女王陛下万歳!女王陛下万歳!女王陛下万歳! ―――トリステイン国史記より抜粋 戻る マジシャン ザ ルイズ 進む
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マジシャン・オブ・ブラックカオス・MAX(OCG) 儀式・効果モンスター 星8/闇属性/魔法使い族/攻2800/守2600 「カオス・フォーム」により降臨。 このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。 (1):このカードが特殊召喚に成功した場合、 自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。 このターン、相手はモンスターの効果を発動できない。 (2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時、 自分の墓地の魔法カード1枚を対象として発動できる。 そのカードを手札に加える。 カオス マジシャン 儀式モンスター 墓地再利用 行動制限 闇属性 魔法使い族 関連カード カオス・フォーム ♯2(アニメ) カオス・フォーム(OCG) カオス・フォーム(アニメ)
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コナミコマンドを入力することで主人公として使用可能。 デッキ内容 音速ダック デュナミス・ヴァルキリア ホーリーエルフ ザトリッキー ヂェミナイエルフ ブラックマジシャン ブラックマジシャンガール 翻弄するエルフの剣士カードエクスクルーダー 光帝クライス 打ち出の小槌 騎士道精神 シールドクラッシュ ソウルテイカー 月の書 落とし穴 砂塵の大竜巻 サンダー・ブレイク デッキ強化方 通常の初期デッキと違って【ブラック・マジシャン】に寄せている為、運用法も異なる。 光神機が抜かれているので全体的な打点はさがっているものの、変わりに必須カードの月の書が投入されている。 初期デッキ強化方を参考に魔法使い族サポートを入れ、トリッキーやクライスを主力にしたい。
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ブラッド・マジシャン-煉獄の魔術師-(OCG) 効果モンスター 星4/炎属性/魔法使い族/攻1400/守1700 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、 自分または相手が魔法カードを発動する度に、 このカードに魔力カウンターを1つ置く。 このカードに乗っている魔力カウンターを任意の個数取り除く事で、 取り除いた数×700ポイント以下の攻撃力を持つ フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を破壊する。 マジシャン モンスター破壊 下級モンスター 炎属性 魔法使い族 魔術師
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マジシャンズ・サークル:Magician s Circle 通常罠 魔法使い族モンスターの攻撃宣言時に発動する事ができる。 お互いのプレイヤーは、それぞれ自分のデッキから 攻撃力2000以下の魔法使い族モンスター1体を表側攻撃表示で特殊召喚する。 解説 関連カード ゲーム別収録パック No.00050755 DS2009パック:パック:-(P)09:全カードランダムパック(P)09 未チェック PSPTF4パック:パック:-(P)TF4:チェッカーフラッグ(P)TF4 未チェック DS2008パック:パック:-(P)08:全カードランダムパック(P)08 未チェック PSPTF3パック:パック:-(P)TF3:タッグフォース・フォーエヴァー(P)TF3 未チェック DS2007パック:パック:-(P)07:-(P)07:全カードランダム(P)07 未チェック DS SSパック:パック:-(P)SS 未チェック DS NTパック:パック:-(P)NT 未チェック PSPTF2パック:パック:-(P)TF2:チェッカーフラッグ(P)TF2 未チェック PSPTF1パック:パック:-(P)TF1:チェッカー・フラッグ(P)TF1 未チェック PS2TFEパック:パック:-(P)TFE:チェッカー・フラッグ(P)TFE 未チェック
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《ブラック・マジシャン・ガール ━ウォーター・コスチューム━》 効果モンスター 星6/水属性/魔法使い族/攻1900/守1800 このカードのカード名はフィールド上または墓地に存在する限り、 「ブラック・マジシャン・ガール」として扱う。 このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、炎属性 モンスターの攻撃力は0になる。 フィールド上に「絶対魔法多重結界」が存在する場合、このカードが 相手プレイヤーに戦闘ダメージを与えた時、自分はカードを1枚ドローする。 part20-212 作者(2007/09/18 ID lrYbbyhF0)の他の投稿 part20-210 / part20-213 コメント 名前 コメント
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YOパック:パック58(P)YO:STARSTRIKE BLAST(OCG) BEFORE:パック57(P)YO NEXT:パック59(P)YO 遊戯王:STARSTRIKE BLAST(OCG) から 全80種収録。 実装日:2011年08月12日(金) 解説 ※チェック。修正待ち。 通常0?種 効果??種 速攻のかかし ミラー・レディバグ リード・バタフライ ニードル・ガンナー ネクロ・リンカー レスキュー・ウォリアー パワー・ジャイアント バイス・バーサーカー ランサー・デーモン パワー・ブレイカー エクストラ・ヴェーラー シンクロ・ガンナー BF-二の太刀のエテジア BF-極光のアウロラ BF-激震のアブロオロス カラクリ兵 弐参六 カラクリ商人 壱七七 カラクリ忍者 参参九 カラクリ武者 六参壱八 スクラップ・サーチャー エレキリギリス エレキトンボ エレキタリス ナチュル・パンプキン ナチュル・スタッグ 氷結界の舞姫 チェーンドッグ ワイトメア 破戒僧 ランシン 闇帝ディルグ クリエイト・リゾネーター アタック・ゲイナー グローアップ・バルブ カラクリ参謀 弐四八 スクラップ・ソルジャー エレキーウィ ナチュル・チェリー 融合02種 覇魔導士アーカナイト・マジシャン 地天の騎士ガイアドレイク シンクロ05種 シューティング・スター・ドラゴン スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン カラクリ将軍 無零 スクラップ・ツイン・ドラゴン フォーミュラ・シンクロン 魔法??種 調律 風雲カラクリ城 黄金の歯車装置箱 カラクリ解体新書 スクラップ・オイルゾーン エレキャッスル エレキャッシュ パルキオンのうろこ ガオドレイクのタテガミ 氷結界の紋章 氷結界の鏡 コアキリング 魔界の足枷 愚鈍の斧 呪いのお札 霊滅独鈷杵 馬の骨の対価 大熱波 罠??種 D2シールド スクリーン・オブ・レッド ブラック・バック ディフェンダーズ・クロス 重力崩壊 BF-マイン 星蝕-レベル・クライム- ハーフ・カウンター カラクリ屋敷 時限カラクリ爆弾 スクラップ・クラッシュ エレキーパー エクストリオの牙 虚無空間 異次元グランド 能力吸収石 暴君の威圧 落とし大穴 ※OCGの同名パックとの差分 ※追加 通常(00種) 効果(00種) エクストラ(00種) 魔法(00種) 罠(00種) ※OCGの同名パックとの差分 ※削除 通常(00種) 効果(00種) エクストラ(00種) 魔法(00種) 罠(00種)